ミックスボイスって、要はなんでしょうか?
一言で言っても、皆さんの定義がバラバラですし、ボイトレサイトを読んでいても、書いている内容が難しすぎて、なんのことなのか全然分からなかったりします。
ですので本記事では、このサイトでミックスボイスとはどういうものを指すのか、という定義を書いておきたいと思います。
僕の結論としては、これです。
<図1>
ミドルボイス=ミックスボイスではないのか?
2ちゃんねるとか歌系サイトなんかを見ていますと、ミドルボイスとミックスボイスを同一に考えている方が結構いらっしゃいます。
イメージとしては、これですね。
<図2>
チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスという発声法が3つあって、この3つをマスターすれば良いという考え方。
しかし、重要なのはミドルボイスが出せても、ミドルボイスとチェストボイスとスムーズに繋げられない「換声点」の問題にぶち当たるということです。
僕の場合もそうでした。
ミドルボイスは出せましたが、チェストとミドルがつながる音、とくにF#4(midF#)がかすれて出なかった記憶があります。
この実体験から考えても、ミドルボイスというものがあっても、チェストボイスとつながらないという事実がありましたので、その換声点をつなぐミックスボイスという技術が、ミドルボイスとは別になくてはなりません。
ですので、図2は否定されます。
ミドルボイスは存在しなくて、チェストとヘッドだけが存在する説
また、一方で、下記のように考えておられる方もいます。
<図3>
図3の場合は、チェストボイスとヘッドボイス(もしくは裏声)の基本的な発声法が2つあって、その換声点をつなぐミックスボイスというものがある、という考え方です。
これだと、ミドルボイスという発声法が無く、チェスト以外の発声法はヘッド(もしくは裏声)しか無い、という考え方になります。
しかし、チェストボイスとミドルボイスは別物です。
なぜそう言えるかといいますと、僕自身もともと、ミドルボイスができても、チェストボイスができないタイプだったからです。
僕のミドルの音域であるE4(midE)〜F4(midF)なんかは、スムーズに出せても、低い音が全然出ないし、音程も狂ってしまいがちでした。
まさに、ミドルはできるけど、チェストができないという典型的なタイプだったわけです。
ですから、チェストとミドルは存在します。
ただし、先生によっては、チェストとミドルを同じものとして考え、どちらもチェストボイスとして定義している人もいるのかなと思います。
ミドルボイスとヘッドボイスの違い
逆に、ミドルボイスとヘッドボイスの違いが分からない、という方もいるかもしれません。
僕の感覚では、ミドルボイスとヘッドボイスは、発声法としては似ていますが、ヘッドボイスはミドルの延長線上でできるものではないです。
ミドルの発声が上手くなれば、ヘッドボイスもできるようになる、というものではないと思います。
ミドルとは別の発声として、ヘッドボイスを捉えた方が良いかもしれません。
ヘッドボイスは、プロでも使えない人(使わない人)が多い
プロの方でも、ミドルが使えてもヘッドボイスはほとんど使われない方もかなり多いです。
Mr.Childrenの桜井さんなんかは、おそらく意識的にヘッドボイスを使うことができないと思います。
ライブ音源などでは、ヘッドで出した方が良いであろう、最高音域のほとんどをミドルボイスで出しています。結構、喉にダメージを与えているのでは? と思うこともしばしばです。
ただ、かと思うと、ふいにヘッドボイスを使われたりします。おそらく意識的ではないと思います。
ということで、ミドルボイス、ヘッドボイスはどちらも存在するよ
以上から考えても、図3は否定されます。
つまり、図2も図3も、3種類のテクニックを覚えれば良かったわけですが、残念ながらそうはいかないようです。
図1のように、
- チェストボイス
- ミドルボイス
- ヘッドボイス
という基本的な3つの発声法と、それらを超える2つのミックスボイスの合わせて5つのテクニックが必要となってきます。大変ですね。
もう一度改めて、図1を貼っておきます。
<図1>
ちなみに、チェストボイスとミドルボイスを行き来するときの換声点を「ファーストブリッジ」とも言います。
ファーストがあればセカンドもある、ということで、ミドルボイスとヘッドボイスの間の換声点を「セカンドブリッジ」と言います。